熊と共に滅ぶ日本農村
最近、関西に住む大学時代の友人たちから、熊を心配するメールが立て続けに届いた。それぞれ少しずつ内容は異なるが、以下のように返信した。
……
我が家から数百メートルのところまで熊が来ているようです。渓流釣りの際に携行している熊撃退スプレーを、畑の近くに置いています。

高度経済成長期から続いてきた農政の結果が、熊被害の最大の原因だと思っています。
里山を崩壊させ、限界集落を生み出し、人里と山との境目がなくなったことが最大の問題でしょう。
東北の農村で高齢者が熊の餌食になろうが、熊が何頭駆除されようが知ったことではないという輩が、国を動かしているのですから。
……
高度経済成長期には、「金の卵」と呼ばれた中卒者が、集団就職列車で都会へと連れ去られていった。

まさに、日本資本主義の再版原始的蓄積と言えるかもしれない。
こうして、農村は都会へ低賃金労働者を送り続けてきた。
低賃金でも豊かさを味わわせるには、日用品の低価格化が必要だった。
米価を下げ、海外から安価な食料を輸入することで、日本農業は崩壊していった。
その結果が、米価の高騰であり、限界集落であり、熊被害と熊の殺処分へとつながっている。
そして今、新たな首相は米の生産を放棄しようとしている。次は、外国から米を買うことになるだろう。
日本にはもう農村など不要だと考えている政治家たちが山ほどいる。日本社会の荒廃は、さらに加速するだろう。それでも、農村では依然として与党支持が根強い。
――このままでは、熊と共に滅ぶしかない。